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山田七絵氏、内藤寛子氏の編著『アジア・トイレ紀行』を読みました。アジア経済研究所の職員20名がアジア各地で出会った「トイレ」にまつわるエッセイ集です。 面白いもので、ひどいトイレのエピソードはなぜか盛り上がります。本書にも過酷だがどこか可笑しい体験談が出てきますが、興味深いのはイスラーム圏での合理的なトイレの考え方。これには関心します。 それにしても、トイレとは実に大きな期待を背負わされています。 まずトイレがあり、ドアがあり、洋式便器と便座があり、水洗式で紙を流せる水圧があり、ウォシュレットがあり故障しておらず、清潔で臭くなく、紙もある。 これを当たり前と思ってはいけませんね。 #読了
24d
高谷再氏の『この罪を消し去ってください』を読みました。第10回ジャンプホラー小説大賞で4年ぶりの金賞を受賞した作品です。 その女子高校ではAIが生徒をサポートしていた。 親友の月島藍奈が転落死して1年半。折原夜空の前に現れた新入生は藍奈の妹・果穂だった。果穂は姉と交わした〈お茶会〉と呼ばれる生徒会に入る約束を果たすため奔走する。一方、藍奈の死の真相を知る上級生たちは果穂を排除すべく行動を起こす。 AIは妹の「サポート」を開始した。 『2001年宇宙の旅』のHAL9000に代表される古典的なAIの恐怖を描いていますが、そこに学園ものと百合要素を組み合わせたのは異色で目新しいですね。 #読了
2mo
久永実木彦氏の『雨音』を読みました。 大学で起きた銃乱射事件により多くの仲間を失った映画同好会の生還者が、事件をドキュメンタリー映画として記録することを決意する。取材を兼ねて出席した追悼式に現れた女性は丈の長い黒いワンピースに真紅の女優帽という場違いな服装で、立ち去ったあとには挑発するような一発の銃弾が置かれていた。 物語の発端こそ衝撃的な事件ですが、本書は切ない恋愛小説でした。今井喬裕氏の装画は、儚いヒロインをよく表現しています。 最後まで淡々とした文章の運びがとても印象的で、ヘミングウェイの『老人と海』を思わせますね。 読了後にプロローグを読み返すと、なるほどと唸りますよ。 #読了
2mo
かどやひでゆき
かどやひでゆき
小柳由紀子氏の著書『名画のインテリア』を読みました。 絵画の解説といえば中心的な人物についてや、画家自身の背景などが多い印象ですが、本書では文字通りの背景に描かれたインテリアに注目し、用途や当時の風習、その素材までとても詳しく解説しています。 例えば表紙の「刺繍台の前のポンパドゥール夫人」で本書が焦点を当てるのは、右下に描かれた白い楕円のプレートがはめ込まれた家具。このプレートには色名が書かれており、刺繍糸を色分けしておく収納ケースのようです。 改めて観ると家具や小物までしっかり描き込まれていることに驚きます。これまで漫然と鑑賞していましたが、絵画の新しい楽しみ方を知りました。 #読了
かどやひでゆき
1mo
竹内康浩氏の著書『謎ときエドガー・アラン・ポー』を読みました。 本書はポーの短編「犯人はお前だ」(Thou Art the Man)を題材に、鏡像や双子関係という考え方を使ってポーのトリックのメカニズムを解き明かします。「犯人はお前だ」の全文が掲載されているので、未読の方もご安心を。 メカニズムに照らし合わせてパズルのように読み解くと、ポーが仕掛けたもう一つの完全犯罪が浮かび上がります。 「Thou Art the Man」とは旧約聖書のナタンの言葉。叱責を受けたダビデは罪を告白して神の赦しを得ますが、同じように罪を告白した真犯人はなぜ死んだのか。その疑問の答えが見つかりました。 #読了
3d
かどやひでゆき
かどやひでゆき
マイケル・ロブ著『英国ブックセラーの歴史』を読みました。 1476年にウィリアム・キャクストンがイングランドに最初の印刷機を設置して以来、約550年にわたる書店と出版社の栄枯盛衰をまとめた歴史書です。 印刷技術の向上により誰もが読書を楽しめるようになりました。この文化は書店や出版社の努力によって支えられてきましたが、近年はその維持に限界が見え始めています。活字を楽しむ文化を今後も守り続けるには、本を愛する読者自身の協力が不可欠なのかもしれませんね。 本書は英国を中心とした内容ですが、書店や出版社が直面している課題は日本も似た状況であり、何かできないかと考えさせられる一冊でした。 #読了
井上真偽氏の『アリアドネの声』を読みました。 物語はシンプルで、地震により大型施設の地下深くに取り残された盲ろうの女性を、一台の災害救助用ドローンで救出を試みる救出劇です。 目が見えず、耳も聞こえない相手にどうやってドローンの存在を伝えるのか。どうやって安全な場所まで誘導するのか。次々に立ちはだかる課題を創意工夫で解決する展開は爽快ですね。 そして、本書の醍醐味は何と言っても二周目。主人公たちの見えない場所で本当は何が起きていたのかを想像しながら読むと、そういうことだったのかと息をのみます。 難しい言葉は無く、心地よい驚きと温かいメッセージがあるので子どもの読書にもお勧めです。 #読了
塩崎省吾氏の著書『カップ焼きそばの謎』を読みました。日本を代表する焼きそば研究家による、カップ焼きそばのルポルタージュ。焼きそばの謎シリーズ三部作の完結編です。 北海道出身の私は当然ながら「マルちゃん やきそば弁当」を食べて育ちました。一方で、東日本では「ペヤング ソースやきそば」が、西日本では「日清焼そばU.F.O.」が圧倒的に人気。このような地域性が如何に生まれたのか不思議でしたが、そこにはメーカーの成り立ちや地理的な理由があったのですね。 カップ焼きそばの発祥や各メーカーの販売戦略など、過去の文献や関係者へのインタビューがまとめられており、歴史書としても価値ある一冊でした。 #読了
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かどやひでゆき
かどやひでゆき
かどやひでゆき
今村翔吾氏の著書『書店を守れ!』を読みました。 タイトルの「書店を守れ!」とは著者自身を鼓舞するため、自らに命じている言葉とのこと。実際に著者は多くのアイデアを提案し、自ら書店を経営するなど行動を起こしており、本書はその記録でもあります。 ところで、私は時代小説をあまり読まないので、著者の今村翔吾氏の作品にはNetflixの『イクサガミ』で初めて触れました。ドラマは見応え十分で、原作の小説を読みたくなりますね。映像から入り、原作の本に戻る。これも本を売る見事な戦略です。 一方、書店で本が売れるかは別の問題。紙の本自体が、書店で直に手にしたくなる魅力を高める必要がありそうですね。 #読了
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かどやひでゆき
馬場敬信氏の著書『歴史をたどってしくみを学ぶコンピュータ入門』を読みました。 ハードウェアの面では、コンピューターが動作する仕組みを「スイッチのかたまり」という基本原理までさかのぼって説明しています。複雑なものを複雑なまま理解するのは大変なので、まず原点に立ち返るという切り口は大切ですね。 ソフトウェアの面では、CPUが機械語をいかに処理するかをとても分かりやすく図解しています。もっとも、今の時代には知らなくても困らないのですが、もしもC言語を学ぶなら一読の価値があります。難所とされるポインタも、きっと難なく理解できますよ。 教養として中高生にもお勧めできる一冊です。 #読了 #技術書
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