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鶴首して待つ、なんて言葉を思い浮かべる程度には、アカリからの手紙を心待ちにしている。
近頃アカリは、声をかけてくれた仲間と共に、音楽の道を進もうとしているらしい。
「チアキさんに音声をお送りします。まだ拙い演奏だと思いますが、これからも研鑽を続けます」
今日はまだ返事はない。けれど、便りがないのは良い便りと信じて、教わったアドレスを叩く。アップロードされているファイルの一つを開けば、晴れやかな、いつか見た青空のようなバンドサウンド。
すると、どこからともなく声が聞こえてくる。
「珍しいですね、トルクちゃんがそういう曲聞いてるの」
「だから当然みたいに盗聴するのはやめてちょうだい、レイ」
〈潮溜まり〉の人口は飽和している。土地もいつまで保つかわかったものではない。
「現状がおかしいっていや、そりゃそうだ」
「物わかりがよくて助かります、弓張警部補。では、〈潮溜まり〉の解体を望む我々の主張もご理解いただけるかと」
「理解はするぜ」
慇懃な――慇懃無礼であることも、お互いに承知の――「工事屋」の仕切り役に、弓張は場違いなまでの軽い調子で言う。
「好きにやれよ、俺ぁ手も口も出さねぇ」
それはあくまで「弓張が」であり、「工事屋」の最大の障害である極道者たちは別の話。弓張が双方に口を利かないというのは、「殴り合え」という意味に他ならない。
「やれそうにねぇならとっとと〈市中〉に帰れ」
#語彙トレ2026
蜃気楼閣フラグメント
06/12 - 飽和
弓張の役割は時に「何もしないこと」にある。
#語彙トレ2026
蜃気楼閣フラグメント
06/13 - 鶴首
何だかんだ、心から楽しみにしているのである。
医学用語としての用例がある語彙はできたらトルクアレトの話にするっていうあざらしの中のうっすらとした縛りがあります。