相手に意思があることは認識していた。しかし自分がその意思を尊重する必要性については別物で、――つまりルーシの意向を気にして行動しようという発想すら無かった。何しろ、皇族に生まれついた自分に、そのようなものを求められた経験はない。
この胎に種を蒔くことを彼に許したときもそうだった。確実に目的を果たすことに固執し、催淫香を焚いて寝所に招き入れた。その後正気を取り戻した彼の見せた反応に――いや、そこではなく、彼の怒りに触れた結果、自分が言い知れぬ鬱屈や不安を抱えることになろうとは、想像だにしなかった。
相手の心まで欲するということを、このとき初めて知ったのだ。
お題:固執
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