十八歳のときに「羊をめぐる冒険」を読んだのがわたしのはじめての村上春樹で、たいへん衝撃を受けた。どういう衝撃だったかというと、自分が今まで読んできた小説とまるで読後感が違っていたから。ざっくりした言い方になるが、オチらしいオチがなくても小説は終えることができるのか! ということをわたしは村上春樹の小説を読んではじめて知った。これは現代の純文学にはじめて触れたことによる、自分の中でも革命的な出来事だった。物語は閉じられず、読んだら終わり、とならないで、いつまでも心の中に手触りが残る小説。この印象はのちにわたしが夢中になる純文学全般に言えることで、自分のこの嗜好はこの先も続いていくと思っている。