中等部高等部の合同入学式の朝、校門の前に彼はいた。見知らぬスーツを着て、俺の知らない顔をして。
「ぎ……、先生!おはようございます!」
「……」
俺が母の傍を離れ門へ駆け寄ると、彼は静かな微笑みを口元に湛えて、
「ご入学おめでとうございます」
そう言って胸花をつけてくれた。
「待っていた」
「これからよろしくお願いします!」
「まあ、俺は高等部だがな」
「へへ、知ってます」
その後すぐ、彼は母さんに大人っぽい静かな声色で挨拶をしていた。
俺は知らない。ここから先、先生となった彼と生徒となった俺の間にできる溝のことなんか、まだ知るはずもなかった。
この幸せな春の日が、ずっと続くと思っていた。
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