#語彙トレ2026
蜃気楼閣フラグメント
06/10 - 転位
弓張班の荒事屋さんも恐れる相手。
あざらし(青波零也)
トルクアレトは、ARレイヤー上にいくつかの写真を浮かべる。
「骨の、この部分が転位……、つまり、あるべき位置からずれてしまっている状態なの」
無骨な指が、写真の折れた骨をなぞる。
「でも、大きくずれてはいないし、砕けてもいないから、しっかり固定しておけばくっつくわ」
「……それまでは?」
「空明さんなら、言わなくてもわかるわよね?」
トルクアレトの朝焼けの目が、ひたりと空明を見据える。
――いやはや、今日も下手な殺し屋よりよほど凄みのある目つきをしておられる。
空明は普段通りに微笑みながらも、この医者には逆らうべきでない、と改めて思い知る。
「安静に。心得ましたよ、トルクアレト先生」