結局、とりあえず5年は育英会で食いつなげるというのが、大学院に行った最大の理由だったので、しばらくはなかなか勉強に身は入らなかった。
結局はしかしSさんに拾ってもらったことが大きかったのだと思う。どのタイミングか忘れたがAlthusserのLire le Capitalを読むことになった。
しかし当時の私は、外国語が読めていなかった。ほとんど全訳を作って持って行ったのだが、Sさんにもう一行一行訳し直されて、脇の下を冷や汗が流れた。比喩ではなく、ほんとうに汗が流れた。
Sさんは関西弁でフランス語を読んで、その後に訳文をその場で作ってゆく。まったく読めていないことがわかる。それが二時間ぐらい続く。
ねずみ王様